2012年11月24日

◆ ビブリア古書堂の事件手帖

 古書店を舞台にした青春ミステリ。その書評。 ──
 
 剛力彩芽が「月9」初主演すると話題になった「ビブリア古書堂の事件手帖」という本を、このたび読んでみた。前から気になっていたので。
 本屋で見て、「いい文章だな」と感じていたので、そのうちいつかは買うつもりでいたが、ちょっと暇ができたので、買って読んでみた。

 前に目を通したときは、「軽い感じだな」と思って、「文学性は薄いな」と思っていたのだが、全部を読んでみると、思ったよりも良かった。文学性もいくらかある。
 一番いいのは、やはり、文章だろう。この手の小説としては珍しくきちんとした文章だ。というか、普通の純文学に比べても、(レベルは低いが)きれいな文章となっている。このようにきれいな文章を書ける人というと、村上春樹ぐらいしか思い浮かばない。(ちょっと比較のレベルが違うけどね。)

 ──

 全体として、次の評価となる。
  ・ ライトノベルである。
  ・ ほんわかとした恋愛風味の青春小説
  ・ 軽い推理小説
  ・ 汚い傾向がなく、とても後味が良い。

 
 というわけで、私としては、好きですね。好きな作家に分類される。
 で、同じようなものがまた出たら買うか……と言われたら、微妙。いっぺん読めばもうそれでいい。

 では、どこが不満なのか? 次のことだ。
 「主人公もヒロインも、あまりにも人物造形が幼すぎる」
 つまり、読者対象が十代である。大人の読み物じゃない。人間性の深みはまったくない。あくまでライトノベルである。
 特に、ヒロインの人物造形が、漫画チックと言えるほど、現実離れしている。オタク男子の妄想全開という感じ。
  ・ すごく恥ずかしがり屋ですぐ赤らむ。
  ・ 黒髪、長髪
  ・ 巨乳
  ・ すこし年上

 何じゃ、こりゃ。オタク男子の妄想ですかね。オタク系の漫画の設定みたい。
 私としては、この手の妄想に嵌まるつもりは全然ないので、この設定にはまったく楽しめなかった。しかしながら、オタク系の非モテの男性には、ぴったりするだろう。

 結論。

 非常に読後感がいい。善良な精神の持主には、気持ちよく読める。
 リアル女性との交際経験があれば、非現実性に呆れる。
 リアル女性との交際経験がなければ、妄想に嵌まれる。

 ……

 ま、どっちみち、「すっきりとして読後感のいい小説」なので、十分に楽しめます。文句はありません。
 ただ、一時の暇つぶしにすぎないか、深く楽しめるかは、人それぞれ。モテる男性にとっては満足はできないだろうが、非モテの男性には妄想世界に嵌まれるだろう。

 ひとことで言えば、(高学歴で情報系で非モテである)はてなのユーザーにはぴったりだ。文学度の低いライトノベルであることからしても、理系向き。




ビブリア古書堂の事件手帖

 
 評点
  ・ 一般人にとって ……  ★★★★☆ 
  ・ オタクにとって ……  ★★★★★ 
  ・ 変態男にとって ……  ★☆☆☆☆ 
  



 じゃ、文系だったら、どれを読めばいいか?
 定番は、これだ。



死の蔵書

 古書のうんちくがたっぷり。そのせいで、肝心の推理の方は何が書いてあったかも、読後感に残らない。本好きのマニアの好奇心を満たすのが目的という、ペダンチックな本。

 続編の「幻の特装本」もあるが、こちらは前作には及ばない。
 
 古書を扱いながらもミステリの方が大きな味になっているのは、次の二つだ。
  ・ フランチェスコの暗号〈上〉
  ・ ダ・ヴィンチ・コード(上)

 面白いことは面白いし、世界レベルのエンターテインメントだが、「本好き向け」というジャンルとは違いますね。
 しかしまあ、上のどちらも、読みごたえはたっぷりだ。暇つぶしにはすごくいい。



 [ 付記 ]
 で、文学性は? そんなのは、娯楽作品に求めるべきじゃない。本格的な文学を読みたければ、ちゃんと古典から読むのがいい。それは、若いころにきちんとたしなんでおけば、どれがいいかはわかるはず。紹介の情報もいろいろあるし。
 それは、本項で扱う話題じゃない。


posted by 管理人 at 17:57| 書評 | 更新情報をチェックする
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