2011年04月30日

◆ 大前研一「日本復興計画」

 大前研一が「日本復興計画」という本を出した。その評価をすると……一言でいえば、「看板に偽りあり」だろうか。 ──

 「看板に偽りあり」というのは、「羊頭狗肉」というほど悪くはないが、「釣り」であることは確かだ。
 ここに書いてあることの大半は、「原発事故はいかにして起こったか」ということである。
 「第2章 3分の2に縮小する生活」
 という章だって、電力危機のことを書いてあるのかと思ったら、大半は「原発事故はいかにして起こったか」ということである。
 「日本復興のためのアイデアを示しているんだろう」
 と思って買ったら、とんだ期待はずれだ。そこにあるアイデアは陳腐なものばかりで、「日本復興計画」なんていう内容は不十分だ。
 どうせなら、「原発事故と日本」というタイトルにした方が、ずっと適していた。(ただし、それじゃ、売れないでしょうね。だから、「釣り」のタイトルにしたわけだ。

 ま、「看板に偽りあり」という点は別にして、本書の評価をすれば……

 ──

 (1) 原発事故

 原発事故については、よく書いてある。「東電のデタラメさが原因だ」ということは、私のページの方が詳しいが、「原発とはどういうものか」という技術的な解説が、とても詳しい。さすがは原発技術者だ。私には遠く及ばないレベルで、原発の解説が書いてある。百科事典でも読んでいるような気分だ。
 で、それが面白いかというと……私は全然、面白くなかった。読むのをすべて吹っ飛ばしたい感じ。ただし、原発事故の話を吹っ飛ばすと、本書には他の話がろくに残っていない。どうしましょう?   (^^);

 評価すれば、こうだ。
    ★★★★★ 
 実際、これだけのレベルのものは、他には見当たらない。ただし、ネットで大前研一の YouTube 動画を見るだけでも、
    ★★★★☆  
 ぐらいにはなる。(あと半分加えてもいい)
 いちいち買わなくても、YouTube を見るだけでもいいかも。  (^^);


 (2) 電力不足

 「原発がなくなったあとは、電力不足を耐え忍ばねばならない」(3分の2に縮小する生活)
 という前提で、節電の話が続く。
 しかしこれは、古い情報だ。「電力不足です」という東電の話は嘘で、実は、5500万kWという十分すぎる電力がある、とすでに判明している。しかも、さらに増えそうだ。
  → 夏の停電対策は不要
 結局、電力不足なんか、起こらないのだ。あるとしても、年にせいぜい数日だけだ。特に、今年は冷夏になりそうなので、その数日もさえ、たぶん起こらないだろう。
 というわけで、電力不足の話は、まるきり無意味だ。(前提となる情報が古すぎる。時期遅れ。)

 電力不足への対策も、見当違いだ。
  ・ サマータイム
  ・ 夏の甲子園を中止

 なんていう案は、全然効果がない、ということは、私が先に詳しく示したとおり。そちらを読んでほしい。
  → 大前研一の停電対策
 頭が良さそうな割には、電力については「単純な足し算・引き算さえできない」ということが判明してしまった。
( ※ サマータイムについては、わざわざグラフを出して、可視化して説明しているのに、「ピーク電力の削減には効果がない」ということを理解できない。困ったことだ。)
 馬鹿げた話が多いので、評価はこうだ。
     ★☆☆☆☆ 
 

 (3) 日本復興計画

 第3章は、「日本復興計画」というタイトルで、あれもこれもと論じている。だが、どこかで聞いたことがあるような話ばかりで、何も印象に残らなかった。何を言いたいのかもわからない。私が読み落としているのかな?
 実のある話を読みたければ、私のサイトを読む方が、百倍ぐらい詳しく論じている。(たとえば、将来のエネルギーとか、東電の処理とか、仮設住宅や防潮堤や気象庁とか。)
 結局、本のタイトルである「日本復興計画」については、ごくごく普通の内容だ。役人の書いたレポートみたいだ。間違いでもないし、悪くもないが、平凡すぎる。金を出して買うほどではないが、金が余っている無知な人ならば、買ってもいい。(凡百の本と同様だ。)
 というわけで、評価はこうなる。
     ★★★☆☆ 
 
 ──

 以上を総合評価すれば、   ★★★☆☆  という評価になる。買うかどうかは、お好みで。






 [ 付記 ]
 ついでに、池田信夫の書評に言及しておこう。池田信夫も、この本について書評を記した。次のように。
 今回の事故は、およそ考えられる最悪の偶然が重なったので、これ以上の事故が世界の他の場所で起こることは考えられない。しかも放射線の被曝による死傷者は出ていない。
 こういう考え方はわかるが、私は同意できない。しかしまあ、本項は、池田信夫を批判することが目的じゃないから、ここでは池田信夫の説を紹介しておくだけに留めよう。
 さらに私の話を読みたければ、下記項目を読むといい。
  → 池田信夫の原発論


posted by 管理人 at 14:05| 書評 | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。