2010年12月08日

◆ ソニーの失墜

 ソニーの没落はひどいものだが、その内幕を書いた本がある。
 「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」
 という本。 ──
 
 ソニーで成功したのに解任された、という人の話。
 ソニーのカンパニー長(事業部長)になって成功したのに、解任されてしまった。あまりにもひどいソニーの実態に呆れて、辞職した。そのあと、グーグルの日本法人社長を勤めた人の話。

 書評は、下記にもある。
  → 朝日新聞
  → アゴラ (池田信夫)
  → アマゾン




 さて。著者の話は別として、私の考えを述べれば、こうだ。
 ソニーの没落は、今になって騒ぐほどのことではない。十年以上も前に予想されていた。というか、私が予想していた。その理由は? 
 出井社長だ。彼が 1995年に就任してから、しばらくマスコミをにぎわせたが、それを読んで、私は呆れたものだ。
 「こいつはどうしようもない経営者だ。米国の経営者と同じで、MBA 流の発想があるだけで、技術のことを何もわかっていない」
 ソニーというのは技術優先の会社なのに、そこに技術音痴の文系社長が乗り込んで、MBA ふうの「カンパニー制」なんてのを導入した。そのあげく、米国の電器会社みたいに、惨憺たるありさまになってしまった。
( ※ これに似ているのが富士通だ。「成果主義」なんてのを取り入れたあげく、富士通を駄目会社にしてしまった社長がいる。この件については、「小泉の波立ち」で何度も批判した。)

 私が「出井社長は駄目だな」と思ったのは 1996年ごろだが、今ではこのことはもはや周知となっている。Wikipedia から引用しよう。
 ソニー凋落の原因を作ったと指摘され、2004年1月12日発売の米ビジネスウィーク誌が選ぶ「世界最悪の経営者」に選定、また日本の『日経ビジネス』2005年12月12日号においても三洋電機の井植敏、ライブドアの堀江貴文らを抑え、「国内最悪の経営者」ランキング第1位に選ばれている。
 また、ソニーが得意とする平面ブラウン管テレビに拘った結果、液晶テレビをはじめとする薄型への急速なシフトを読み違えてしまい、現在に続くテレビ部門不振の原因を作った。巻き返しを図った出井は韓国・サムスン電子との提携に踏み切ったところ、経済産業省や国内メーカーからはテレビ技術の流出を危惧する声が上がり、「国賊」とまで非難されたが、しかし出井は「国内メーカーとの提携は考えたこともなかった」などと語り、果たしてソニーおよびサムスンとの合弁で2004年に設立されたS-LCD社ではソニーが得意としていた画像処理技術が次々と流出し、またソニーのエンジニアが50人以上サムスン側にヘッドハンティングされるなど、経産省や国内他社が危惧した通りの結果となってしまった。
 2003年のソニーショックを受け、出井らが示した経営再建計画の達成が困難を増す中、ソニーの現職社員・OB、国内外の経済メディア、ソニー製品の愛好者など各方面から激しい退陣要求が噴出していたが、出井はあくまでも会長職に固執し、最終的には業績悪化の責任を取って他の役員を巻き込む形で引責辞任したものの、出井時代に大きく後退したエレクトロニクス事業を再建するには遅きに失した退陣と評価された。
( → Wikipedia
 というわけで、いちいち上記の本を読まなくても、出井社長の経営責任というものは、はっきりしている。
 ただし、その実状がどれほどひどかったかを、具体的に示しているという点で、本書は興味深い。

 本書はちょっと、漫画の「島耕作」みたいな雰囲気がある。策謀や裏切りやらで、有能な善人が飛ばされたり、無能な馬鹿がのさばったりする。
 昔の「古き良きソニー」と、近年の「ひどいソニー」との対比が示されて、ノスタルジアに耽ることもできるようだが……

 ま、IT企業に勤める人には、それなりに読んで楽しい(身につまされる?)本だろう。


posted by 管理人 at 19:13| 書評 | 更新情報をチェックする
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