2010年11月07日

◆ トンデモマニア向けの本

 「そいつはトンデモだ!」とわめくトンデモマニア向けの本がある。
   → 99.9%は仮説 …… 思いこみで判断しないための考え方
 2006年のベストセラーだが、トンデモマニアのために書かれたような本だ。 ──
 
 トンデモマニアの特徴は、
 「それはニセ科学だ!」
 と批判することであり、その対極として、
 「こっちこそ科学であり、真実だ!」
 と既存の科学を絶対視することだ。

 ところが、既存の科学というものは、絶対的な真実とは言えない。「絶対的な真実」と見なされたものが、しばしばひっくりかえることがある。つまり、「その時点での真実」が絶対的な真実である保証はない。真実と思えたものは、ただの仮説にすぎない。
 これがつまり、「 99.9%は仮説」というタイトルの意味だ。

 本書の案内文を引用しよう。
 あたまが柔らかくなる科学入門
 「最近どうも頭が固くなってきたなぁ」
 そんなあなたにつける薬は“科学”です。文系理系を問わず、科学のホントの基本を知るだけで、たったそれだけで、あなたの頭はグニャグニャに柔らかくなるかもしれないのです。科学の基本……それは、「世の中ぜんぶ仮説にすぎない」ということです。
 思いこみ、常識、前例、先入観、固定観念……そういったものにしばられて身動きがとれなくなっている人っていますよね? 「なんでこんな簡単な話が通じないんだ!」ってイライラしますよね?
 そんなときは、気休めにこの本を読んでみてください。きっと、ものの考え方から世界の見え方まで、すべてがガラリと音を立てて変わるはずですから。
 アマゾンの読者批評で、最も評価の高いものには、次の批判がある。
 進化論にしてもしかり。科学的仮説である進化論と、神学的仮説である創造論やID論を同列に語るのはどういうつもりだろうか。
 頭が固い見本ですね。「どういうつもりだろうか」って。もちろん、「どっちもただの仮説にすぎない」ということに決まっているでしょうが。それさえもわからないようだ。
 この人はどうやら、「進化論は正しくて、創造論やID論は間違っている」と主張したいのだろうが、実は「両者は五十歩百歩、目くそ耳くそにすぎない」というのが、本書の主張だろう。私もそれを支持する。
 はっきり言って、「小進化の蓄積で大進化になる」というダーウィンの進化論は、妄想にすぎない。化石的事実からは完全に否定される。それを金科玉条のように信奉している人々は、科学とは何かを理解していない。科学を信奉するあまり、科学を絶対視し、科学というものを見誤っている。
 たとえば、「小進化の蓄積で大進化になる」というダーウィンの進化論は、「科学的検証」に合致していないという点で、創造論やID論と同列とも言えるなのだが、それさえもわからないのが、上記の人々だ。せっかく本書を読んでも、何も学んでいないようだ。
 ダーウィンの進化論は仮説にすぎない。なのに、それに反する仮説を「トンデモだ!」と見なす人々は、仮説を絶対的な真実と見なしているのだから、仮説と真実の区別もつかなくなっているわけだ。
 そういうふうに頭の固い人向けに、本書はある。もっと頭を柔らかくしてもらいたいものだ。  
 
 なお、アマゾンの読者批評には、いくつかの批判があるが、いずれも情けないレベルだ。さかんに著者をけなしているが、見当違いの悪口が並んでいる。(誤読のレベルは、ほとんどトンデモマニアと同様だ。)
 はっきり言っておこう。本書は、何らかの科学的な情報を伝える教養書ではない「固い頭を柔らかくするため」の、科学の啓蒙書だろう。

 「この世のものはすべて、グレーゾーン。真実と我々が思っていることも、限りなく白に近いグレーでしかない。」
 という読者批評もあるが、それが正しい読み方だ。この人はきちんと本書の趣旨を読み取っている。(本書の趣旨は、その2行だけで済む。あとは実例をたくさん挙げているだけだ。情報量はあまり多くないので、あくまで初心者向けだ。科学書ではなく、「ものの考え方」を示す書だ。)

 やたらと物事を白黒で決めつけたがるような、頭の固い人は、本書を読んで、物事について多面的な見方を学んでほしい。そうすれば、他の仮説を見て、「トンデモだ!」と騒ぎ立てるような愚を犯さないで済む。 
 
 ただし、……
 もともと頭の固い人は、本書を読んでも、単に批判することしかできないのかもしれない。頭の硬化症を起こしている人は、頭を柔らかくすることはできず、もはや手遅れなのかもしれない。
 




posted by 管理人 at 11:24| 書評 | 更新情報をチェックする
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